中国語はシンガポールで「華語」と呼ばれます。「華語」は中国語本土の「漢語」(普通話)とは発音、語彙、文法などがほとんど同じですが、語彙、つまり単語の中には、歴史的、地理的などの違いから中国で使われていないものがあります。今回はシンガポール華語の中にある独特なことばを紹介します。
1、≪阿官a1 guan1≫
完全に女の格好をしたゲイたちのこと。福建方言から来たことばです。≪人妖ren2 yao1≫とも言います。タイの≪人妖秀≫が有名で、観光資源にもなっていますね。この二語はどちらかというと、差別的なニュアンスがあります。逆に完全に男の格好をした女の人についての特別用語はありません。
2、≪巴刹ba1 sha1≫
マレー語「pasar」を音で訳したことばで、「市場」のことです。HDBの下によく「巴刹」があります。売るものによって「湿巴刹」と「乾巴刹」に分けられます。巴刹では野菜、果物や肉類だけじゃなく、生地、衣服や祝祭用品なども売られており、庶民的な食所「ホッカーセンター」を併設しているところもあります。ちなみに中国では「市場」を「菜市場」「小菜場」と言いますが、最近、都会では大型スーパーに変わりつつあります。
3、≪巴仙ba1 xian1≫
パーセンテージ、英語からの音訳語です。8パーセントのことを「8巴仙」と言います。シンガポールの華語華文メディアでは「書きことばとして『巴仙』を使わず、『百分之XX』を使うべし」と規定され、「巴仙」にはまだ完全な市民権が得られていないようですが、日常に使われる話しことばでは頻繁に耳にします。隣りのマレーシアでは、この「巴仙」が正式用語として認められています。気をつけなければならないのは、中国本土へ行ったら、「XX巴仙」と言ってもだれも分かってくれないことです。
4、≪烏龍wu1 long2≫
カラスと竜のことでもないし、ウーロン茶のことでもありません。広東方言の一つで、「間抜け」「馬鹿げた」「間違い」などの意味です。英語訳は「muddled」「confused」です。「掘bai3」という動詞を一緒に使うこと(「掘烏龍」)が多いようです。中国の標準語に見かけませんが、香港、台湾、マレーシアでもよく使われます。
最後にクイズ。
「打包da3 bao1」はどんな意味でしょうか。
ヒント:「包」と関係があります。
答え:食べ物の「持ちかえり」のことです。弁当やレストランなどで食べ残したものを持ちかえりたい時、店員に「打包」と言えば包んでくれます。最近、中国でも使われるように。
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